権利擁護支援のNPOで私が担当していた人が亡くなって、お坊さんを呼んだ。身寄りもお金もない人だが、そういう人に対しても心を込めて経を詠んでもらえた。
その坊さんが袈裟の話をしてくれた。お坊さんが肩からかけている色鮮やかなあれである。
その鮮やかなイメージに抗議するようにお坊さんが語りかけた。
「これは、うんこ衣と言ったんですよ」(正確には糞掃衣という)
もともと僧は托鉢によって生活をしており、衣を買うような金銭はもっていない。糞のように捨てられたぼろ布をつなぎあわせて作った所から由来ている。(現在日本で使われている袈裟も、この名残りでわざわざ小片にした布を継ぎ合わせて作られている)
それが、時を経るにつれ、色とりどりのきれいな袈裟を着るようになり、緋色→緋恩衣→黄色→古代紫色と位を示すようにすらなってしまった。
私は異端ですからと言って見えたが、こういう人こそ、本当の坊さんだ。この坊さんは曹洞宗だが、浄土真宗の中には「黒衣同盟」というのがあって、その人たちは、色衣・金襴の袈裟を廃止して黒衣を着用している。その事によって、親鸞に帰る。